かっこうをつける

ブログを御覧いただきありがとうございます。

津軽三味線奏者の佐藤壽治です。

 

 

わたくし、普段着はほとんど同じものを着てます。

同じものを毎日着ているのではなく、同じものを複数買ってるという意味です。

 

夏はTシャツが主になり、デザインは変わりますが、冬は防寒が目的なので、デザインとかはどーでもよくなります。

 

 

 

考えてみたら舞台も同じかも。

ほぼ黒紋付に縦縞の袴スタイルです。

色付きの袴もありますし、色付きの着物もありますが、結局黒と縞に落ち着きます・・・が、普段着とは大きく違うんです。

 

舞台はかっこうをつけるために着ています。

派手さや華やかさを出すためなら色付きの選択もありなのですが、黒紋付でも派手にも華やかにも見えます。

秘密は着方と着物の作り方にあると思ってます。

 

大きすぎる、小さすぎるなんてのはもっての他。

きちんと自分の身体の寸法に合っているものを、しわが出来ないように始末をつけて着ると見た目が違います。

 

ちょっとしたことなのですが、祖父から親からと着ている着物も、直しをしてもらって着ることで、古い着物であってもバリっとかっこうよく見えます。

 

やはり舞台はかっこうよく。

面白おかしくしていても、たたずまいはかっこうよくなくてはなりません。

 

 

同じくかっこうをつけるのは道具たち。

お稽古の時は使えるまで使うし、使うことで出来た傷などはそのままですが、舞台に立つときは磨いたりしてお手入れをします。

 

うちの先生の話ですが、過去に楽屋を訪ねてきて、三味線を見せてくれと言われたことがあったとか。

その時持っていた三味線はお世辞にもキレイに見えるものではなく、見たひとも「え?」という調子だったそうです。

 

たぶん『ものすごい三味線』を期待してたんだと思います。

たぶん『ものすごく見た目のいい三味線』を期待してたんだと思います。

たぶん『ものすごく高価な三味線』を期待してたんだと思います。

 

 

見た目で判断。

悪いことじゃないんです。

見た目が悪いものを良くは言えませんし、良く言おうと言葉を選んで想いを包む方がよくありません。

 

想いを包ませないように、オブラートでくるませないように。

かっこうはきちんとつけておかないといけないと思います。

 

余計な気遣い。

これをさせない努力も舞台には必要だと思います。

 

腕も見た目もがんばりましょう。